春の七草・夏の七草・秋の七草

        せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ これぞ七草

中国では正月七日を人日(じんじつ)といい、七草の菜を羹(あつもの、熱い汁物。)にして食べ、邪気を払うという風習があります。
この風習が日本に伝わり、一月七日に七草粥を食べる習慣となって現在まで続いています。
太陰暦(旧暦)での正月は立春前後となり、一年でもっとも寒さの厳しい時期に当たります。
この時期に寒さに負けず生育している若草を粥に入れて食べることで長寿と健康を祈願します。

せり・・・芹(セリ)
なずな・・・薺(ナズナ)
ごぎょう・・・御形(ハハコグサ)
はこべら・・・繁縷(ミドリハコベ・コハコベ)
ほとけのざ・・・仏の座(コオニタビラコ)
すずな・・・菘(カブ)
すずしろ・・・清白(ダイコン)


          涼しさは よし い おもだか ひつじぐさ はちす かわほね さぎそうの花

夏の七草として、春や秋の七草のように定着しているものはないようですが、いろいろな方が様々な思いをこめて夏の七草を選んでいるようです。
ここでは、勧修寺経雄という方が詠んだといわれているものを紹介します。

よし・・・葦(ヨシ)
い・・・藺(イ)
おもだか・・・面高(オモダカ)
ひつじぐさ・・・未草(ヒツジグサ)
はちす・・・蓮(ハス)
かわほね・・・河骨(コウホネ)
さぎそう・・・鷺草(サギソウ)


          萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝がほの花

秋の七草は、秋の野に咲く代表的な花を選んだもので、山上憶良(やまのうえのおくら)が歌に詠んだものが広まったとされています。
「 秋の野に咲きたる花を指折りて かき数ふれば 七草の花 」 という歌に続いて、冒頭の歌が詠まれています。
春の七草は粥に入れて食し、無病息災を祈るものですが、秋の七草は花を見て楽しむものです。

  萩の花・・・萩(ハギ)
尾花(おばな)・・・薄(ススキ)
葛花(くずはな)・・・葛(クズ)
なでしこの花・・・撫子(カワラナデシコ)
女郎花(をみなえし)・・・女郎花(オミナエシ)
藤袴(ふぢばかま)・・・藤袴(フジバカマ)
朝がほの花・・・桔梗(キキョウ)とする説が有力